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道具

シロクマを、
エスプレッソに。楽土/シロクマのおちょこ

お酒は飲まない。
それでも、このおちょこが欲しかった。

白いおちょこの内側に、シロクマが立って寄りかかっている。外側には青い線が一本
2026年10月3日。隅で、シロクマが待っている。

10月3日と4日の2日間、浜名湖ガーデンパークで浜名湖アートクラフトフェアが開かれている。

器、布、木工、革。つくり手がそれぞれのテントに、自分の手でつくったものを並べている。

こういう場所を歩くのは好きだ。

お店に並んでいるものとは違って、ひとつひとつに、つくった人の顔がすぐ後ろにある。手に取ると、その人がどこで迷って、どこで決めたのかが、なんとなく伝わってくる気がする。

買うつもりがなくても、見ているだけで楽しい。

そう思いながら歩いていた。少なくとも、そのテントの前までは。

隅に、シロクマ

楽土さんのテントで、足が止まった。

白いおちょこの内側、その隅に、シロクマが一頭寄りかかっている。

両手を胸の前にそろえて、縁にもたれるように立っている。外側には青い線が一本だけ。余計なものが何もない分、シロクマの姿がまっすぐ目に入ってくる。

しばらく、そのまま眺めていた。

私はお酒を飲まない。おちょこを使う場面は、ほとんどない。

だから本来なら、かわいいなと思って通り過ぎるはずのものである。

それでも見た瞬間に思った。このシロクマを、エスプレッソのお風呂につからせたい。

頭の中では、もう絵ができあがっていた。茶色いお湯に肩までつかって、縁にもたれて、ふうと息をつくシロクマ。

一目惚れである。

ほかのシロクマたち

よく見ると、シロクマのおちょこはほかにも何種類かあった。

縁によじ登っているシロクマ。底から顔と手をひょこっと出しているシロクマ。どれも器の中で、それぞれ何かをしている。

正直、少し迷った。どのシロクマにも、それぞれの物語がありそうだったからだ。

それでも最後は、最初に目が合った寄りかかっている一頭にした。

お風呂につかっている姿が、いちばん想像しやすかった。

それに、最初に足を止めさせたのはこの子である。そこは裏切れない。

値段は2300円。イベントなので、少しお値打ちらしい。

楽土さんのものは、オンラインストアでも購入できるそうだ。ほかのシロクマのことは、しばらく頭から離れそうにない。

夜が、楽しみ

家に帰って、おちょこをテーブルに置いてみる。

空のままでも、シロクマはちゃんとそこにいる。会場で見たときと同じ姿で、縁にもたれている。

買ってきた器を最初に使う前の、この時間が好きだ。

どんなふうに使おうか。何を合わせようか。まだ何も起きていないのに、もう少し楽しい。

夜にエスプレッソを淹れるのが、楽しみだ。

注いだら、シロクマは肩までつかるのだろうか。それとも胸のあたりで止まるのか。

量を決めるのは、たぶん私ではなくシロクマの方である。

いい休日を、すこしずつ。

TOOL NOTE

道具メモ

道具
シロクマのおちょこ(寄りかかるシロクマ)
つくり手
楽土
価格
2300円
購入場所
浜名湖アートクラフトフェア(浜名湖ガーデンパーク/2026年10月3日・4日開催)
ほかの種類
縁に登っているシロクマ、底から顔と手を出しているシロクマなど
オンライン
オンラインストアでも購入できるそう
使い道
エスプレッソ用

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